GREEN SALANA vol.7
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医療法人RESM理事長/日本睡眠学会総合専門医専門医が教える年齢に負けない睡眠改善法白濱龍太郎加齢による睡眠の変化良い睡眠のための習慣と食「GREENSALANA」の読者の中には、年齢を重ねるにつれて「寝付きが悪い」「眠りが浅く、夜中に目が覚める」など、睡眠に関する悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。そこで今回、睡眠障害専門クリニック「RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を訪ね、理事長の白濱龍太郎先生に、加齢による睡眠の変化と対策についてお話を伺いました。SHRAHAMARYUTARO良い睡眠がとれると、心身の疲れがI       ンの分泌量は、10代をピークに年齢と共にしっかり回復し、朝はすっきり目覚められます。さらに、さまざまな病気を予防し、日中のパフォーマンス向上にもつながります。しかし、白濱先生によると「多くの人が睡眠に関して悩みを抱えている現状があります」とのこと。中でも、加齢に伴い睡眠に悩みを抱える中高年は少なくないそうです。実は、加齢に伴い眠れなくなるのは自然な現象です。私たちの体では、「メラトニン」というホルモンが入眠を助け、深く安定した眠りをもたらします。このメラトニ減少し、50代では1/10ほどにまで落ち込みます。「睡眠時間は8時間とるべき」とよく言われますが、これは10代の話であり、メラトニンが減少する60代の場合は6時間ほどでも問題ありません。一方で、同じ中高年層でも、よく眠れる人とそうでない人がいます。この違いは、主に睡眠のとり方や生活の状況に起因するものです。睡眠には自律神経が深く関わっており、睡眠中は副交感神経が優位になって体を休息状態に導きます。しかし、睡眠のとり方や生活の状況によって交感神経が過剰に働くと、良い睡眠をとることが難しくなってしまいます。例えば、就寝時間が不規則で睡眠の中央値(入眠時間と起床時間の真ん中の時刻)が一定でない人は、自律神経のバランスが崩れやすく、良い睡眠をとりにくくなります。また、白濱先生によると「さまざまな悩み事を抱えた状態や、複数のことを同時に考えるマルチタスクも交感神経を過剰に働かせます」とのこと。中高年になると、家庭内での責任が増え、子どもや親のことまで考えなければならない人が多くなるでしょう。仕事においても、自分の作業に加えて後輩の指導や他の役割を担うことが増え、良い睡眠をとりにくくなります。加齢に伴うメラトニンの減少は避けられませんが、睡眠のとり方や生活の状況「無駄」に目を向けて、ぐっすり眠る。04●プロフィール 2013年、睡眠障害に特化した「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を開院。呼吸器科・循環器科・精神科など複数の診療科が連携し、検査入院を含む総合的な睡眠医療を提供している。不眠やいびき、日中の眠気、高血圧の背景にある睡眠時無呼吸症候群など、幅広い睡眠の悩みに対応。クリニックでの診療のほか、企業での講演や第32回オリンピック競技大会(2020/東京)出場選手へのサポート、テレビ・書籍を通じて、睡眠の重要性を多方面に発信。現在は、オンライン診療体制の強化や医療従事者の育成を通じて、今後の全国展開を見据えた取り組みも進めている。

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